うぇるねす設立20周年記念対談! 会長・下田×DX担当・沖山「さぁ、デジタルシニアへ。」
デジタルを使いこなしたその先で、シニアの本当の強みや持ち味が発揮されていく。
新商品Dマネは、昨年の9月、市場に解き放たれた。うぇるねすプラスのコンシェルジュの皆さん18人もシミュレーションを開始して、『伝言板』や『安否確認』の有効性などについてもレポートされ、いよいよ本格的な導入へとステージは進んでいる。このDマネはきっと管理会社を変え、業界を必ず変革していくだろう。いや、そこにとどまらず、シニアの生き方まで変えて行くはずだ。
その開発のこれまでを、会長・下田とうぇるねすDX担当・沖山に聞いた。
Dマネの商品テーマは、まずスピード。社内コミュニケーションの変革でしたね。
下田 僕のイメージはね、10年後はデジタルシニアが当たり前。それを喜んでいる人たちのイメージがあるのね。それをうちが今始めることによって、え? 珍しい? シニアがデジタルって何?ってね。最初は、珍しいくらいじゃないと、おもしろくない。
沖山 今回のDマネについて会長からいただいた最初のテーマは、マンション管理会社さんはそろそろ管理員がらみの作業を全部外に出したくなってくるので、それを丸ごと引き受けるというところでしたね。その時、うぇるねすが提供できる価値というのは、スピードでした。すべての管理をスピーディにして、それによって居住者さん、管理組合、管理会社の満足を創造するという軸で、マスタープランを作ったんです。そうすると、管理員さんにはどうしてもスピーディなコミュニケーションが必要だということになった。それと、会長の発想だと、管理員さんの連絡は管理会社と同時に管理組合にも届けるということだったので、3者が同時にコミュニケーションするには物理的にはデジタル、web上だということになったんです。
下田 そうそう。そんな風に言ってたかな(笑)。
沖山 うぇるねすの自社開発システム「マイページ」も、web上で全員が見るっていうのはまだなくて、それをやってしまおうと始めたんですね。じゃあ、何をwebに上げるか。それが最初の機能、今の『伝言板』でしたね。マンションの裏門がちょっと曲がっているという不備を写真で撮ってフロントに送る。そうやって、判断を仰ぐルートをつくる。そういうことでした。だけど、会長は、それを居住者さんにも見せてしまおうというんです。僕らは最初それは危険だと思いました。ただ、居住者さんはもうそれが気になっているのに、それを1~2ヶ月ほったらかされてしまったら、いくら直ったにせよ、満足かと……会長からそう問われて、そうだ、やっぱり気付いて動き出した過程をすべて見せようと。それは、管理会社さんにとってもいいことだと発想を転換しました。あの「伝言板」にフロント画面と理事会画面の両方があるのは、そのためなんですね。ただまあ、一応、種明かしすると、今はフロントが一回承認を押さないと見られないんですけれども。
下田 いかにもフロントから行ったような感じにした方が、管理会社としては一応顔が立つというんだろう。そういうのもいずれは、同時にパッと行く方が遥かに価値があるとなるんだろうけどね。今、我々が考えているレベルは、実は、管理会社がまだ怖がってなかなかやろうとはしない。これを普及させるには、2~3年かかるかもしれないね。なにしろ、管理員が主役になるっていうのが、管理会社にはまだピンと来ないんだよ。そんなことになるわけがない、その手前でスマホなんか使えるわけないって、まだ言ってるしね。だから、そうだなあ、ちょっとどこか、こじ開けないといけないな。
●参考記事:シニア応援ブログ うぇるねす、DX時代へ。
もう、社員と経営の間を一気に縮める。DXって、会社そのものを変えて行く。
沖山 そこで、このDマネ、何がいいのかというのを、DXの根本に戻って考えてみたんです。先の「スマホなんか使えるわけない」っていうのは、シニアの仕事上の問題点はスマホを操作できないことだと言ってるんですけれど、でも、シニアの仕事上の問題点って実はその前にすでにある。まず、記憶力の低下、耳がちょっと遠い、目が弱い、滑舌。これってすでにシニアの弱点なんですね。でも、これらは全部Dマネなら解決してあげられる。文字になっている、写真になっている、誰々に送るのもボタン一つ。電話しなくていい。これ全部デジタルで解決できるのに、その前段階でなんで諦めているんだと。その次に進んだら、間違いなく皆さんは圧倒的戦力に変わってくれる。このマイナスがなくなり、人生経験豊かな方がマンションにいてくれるとなったら、もう間違いなく現場の戦力だと思うんですよね。
下田 その通りだね。管理員とDマネのセットはすごいよ。
沖山 これは武装だと。このDマネ武装こそ、まさにすべてがうまく回り出す『能力』ですよね。それによって、管理員さんのやる気はもっと出てくる。なぜなら、webのコメントなら自分のペースで読めるし、フロントさんからの指示もよくわかる。つまり、伝えたいことがきちんと伝わって、フィードバックも早い。そうすると、上司がわかってくれると人間って向上心が出てくるんです。 DXに成功している会社は、社員がみんなそうなってきたと口を揃えて言います。
下田 その時、上は何を聞いてあげればいいんだろうね?
沖山 私が調べたDXの成功会社は、 web上でどの部署もデータを見られるし、経営も同じところを見ている。すると、工場とか倉庫のお兄ちゃんとかおばちゃんが、こうしたらどうか、ああすればいいといろんな意見を上げてくるんです。となると、今度は、経営の反応が早い。それいって来い。アイデアまとめてみろ。 ○○部門は協力しろ。みんな全社員の脳みそを使おうとし始める。だから、管理員さんってまさにマンションのすべての現象を見ていて、その脳みその持つ情報をいち早くwebに上げてくれっていうのが、今回のDマネの第一段階なんですね。
そうか。デジタルを使いこなすのが、デジタルシニアというわけじゃない。
下田 営業はその辺から構築していった方がいいね。管理員さんの脳みそはまだイキイキでね、4%ぐらいしか使ってないんです。だから、残りの96%は真っサラだ(笑)。スマホを使えてDマネを使えれば、その後、シニアの本当の生の能力まで発揮されてくる。それが本来のデジタルシニアってわけだね。管理員さんが100人いる会社だったら、その100人の若々しい脳みそをね、シワなんか寄ってない、違った、シワシワでさ(笑)。それだけの脳みそを全部使えるんですよ。
沖山 そんな方々が、今、セカンドライフでそれをやってくれようとしている。何かその懸命さとか謙虚さが根本にあって、人が好きだとか、そういう人たちによる奉仕じゃないですか。まさに、サービス業ですよね。それに、このDXによって横断的なシステムを入れた先には、先程のような社内に新しいコミュニケーションが生まれるわけで、この業務全体を変革できたことが何よりも財産だと、お客さんが感動する。しかも、変革は一度始めたら、もうずっと変革なんですよ。
下田 DXを使えば、ものの力なんだけど、それがさらに人間と同化してね、違うものになるんだ。次元の違うものに。そういう変革がきっと起きてくるんだろうね。
沖山 はい。本当の変革なんだと思います。ただ、今、 DXと言われるもので、我々とちょっと違うラインで進んでいるのがいわゆる機械化なんですね。そう言い始めている管理会社さんがあるんです。この場合は、管理員さんが0なんで、コスト競争力がある。だけど、そんな無機質なオール機械化って、やっぱり、居住者さんにとってはどうだろう?っていう気がしますね。それに比べてうぇるねすなら、居住者に向けたサービスの品質をもっと上げることになるから、いよいよワンランク上の管理になって行く。そんな未来は、うぇるねすにしかできないんじゃないかと思いますね。だって、真心って、やっぱり機械では計算が難しいですから、真心は人がもって表すしかない。
下田 思いのエネルギーがそこで出てくる。そうやってプラスアルファの仕事ができますよってことだね。そして、Dマネの情報が管理会社の社内で全部共有されてあっちこっちから意見が出てきて、経営者がいち早く反応するようになる。それがDX効果だな。それが管理会社そのものまで変えて行くわけだね。
沖山 まさにそこですよね。思いでつながっちゃいました。出ましたね(笑)。
下田 出ましたね。これですね。大変ですね、これは(笑)。
〜おわり〜
この記事は「うぇるシップジャーナル」第8号より転載いたしました。