【注意】65歳以上の年金が減る原因5選!注意点や満額受け取りながら働く方法も紹介

「65歳以上でもらえる年金額が減る可能性があると聞いて不安」
「年金額を減らさず満額受け取るために注意するべきこと」
「年金を満額もらいながら働く方法はあるの?」

定年退職後も働く方が増えていますが、働き方によっては年金の受給額が減ってしまう可能性があります。経済的な不安を解消するために働くのに、年金が減ってしまうのはもったいないですよね。

年金を満額もらいたくても、受給額が減ってしまう原因を知らないと対策できません。そこで、この記事では以下の内容について解説します。

  • 2種類の年金「基礎年金」「厚生年金」について解説
  • 在職老齢年金について
  • 65歳以上で年金の受給額が減る原因
  • シミュレーション
  • 年金を減らさずに働く方法

「年金を満額もらいたい」「働き続けることを検討している」という方には、必読の内容になっています。老後の経済的不安を解消するために、ぜひ役立ててくださいね。

65歳から受け取れる年金は「基礎年金」と「厚生年金」の2種類

65歳から受け取れる年金は「基礎年金」と「厚生年金」の2種類

「そもそも年金にはどんな種類があるの?」「いくらくらいもらえるの?」と気になる方のために、こちらでは年金の基礎知識について確認します。年金には以下の2種類があり、どちらも基本的には65歳から受給できます。

  1. 基礎年金
  2. 厚生年金

厚生労働省の調査によると、令和3年の年金の平均受給額は月145,665円です。これは基礎年金と厚生年金の受給額を合わせた額なので、それぞれの額は5~8万円程度です。

それぞれ詳しく確認していきましょう。

参考:厚生労働省年金局|令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況

1. 基礎年金

老齢基礎年金は、保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した受給資格期間が10年以上ある場合に65歳から受け取れます。受給額は20~60歳になるまでの国民年金の納付月数や厚生年金の加入期間等に応じて計算されます。

20歳から60歳までの40年間の保険料をすべて納めると、満額である795,000円(令和5年時点)を受給可能です。つまり、1ヶ月あたり66,250円受け取れます。

参考|日本年金機構|老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額

2. 厚生年金

老齢厚生年金は、基礎年金の受給資格がある方でさらに厚生年金の加入期間がある場合に65歳から受給可能です。年金額は厚生年金に加入していた期間の報酬額や、加入期間等に応じて計算されるので、人によって大きく異なる場合があります。

令和3年の厚生年金の平均受給額は、1ヶ月あたり68,618円です。

参考:厚生労働省年金局|令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況

65歳以上の年金が減る「在職老齢年金」について解説

65歳以上の年金が減る「在職老齢年金」について解説

65歳以上で受け取る年金額と密接に関わっているのが「在職老齢年金」です。65歳を過ぎても働いて収入を得ている方は、よく理解しておかないと年金額が大きく減ってしまう可能性があります。

在職老齢年金は「老齢厚生年金の受給額」+「年金以外の報酬額」が月48万円を超える場合に、超過した額に応じて受け取れる厚生年金額が減額、もしくは全額支給停止になる制度です。65歳以上の場合に適用される規定額が2022年3月までは「27万円」でしたが、4月以降48万円まで引き上げられました。

年金を減らさずに稼げる金額が増えたので、受給者が働きやすい時代になったと言えます。以下の計算式で、減額される年金額が決まります。

{(厚生年金の月額1ヵ月の平均給与1年間の平均賞与を12で割った額)-48}÷2

在職老齢年金のより詳しい解説や、働く際の限度額については関連記事「【22年8月最新】年金をもらいながら働く方法3選!いくらまで稼げるか分かりやすく解説」にて詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

65歳以上の年金が減る5つの原因と注意したいポイント

65歳以上の年金が減る原因と注意したいポイント

「どんな場合に年金額が減ってしまうの?」と気になる方のために、こちらでは年金が減る原因を解説します。

  1. 在職老齢年金の規定額以上の収入がある
  2. 繰上げ受給をしている
  3. 繰下げ受給をしている
  4. 国民年金保険料の免除や減額制度を利用した
  5. 国民年金保険料が未納の期間がある

年金額を減らさないために注意したいポイントも紹介するので、ぜひ最後まで確認してくださいね。

1. 在職老齢年金の規定額以上の収入がある

働き続けている方の場合、在職老齢年金の規定額以上収入を得ていると年金額が減る可能性があります。厚生年金と給与・賞与の合計が月に48万円以上の方が、在職老齢年金による受給額の減額対象です。

「老後2000万問題」や定年退職年齢の引き上げを背景に、65歳を過ぎても働く方が増えています。経済的な不安を解消するためだけでなく心身の健康維持のためにも働くことは効果的ですが、給与額を管理しないと年金の受給額は減ってしまうかもしれません。

規定額を超えないよう、毎月の給与や賞与を細かく把握しておくのがおすすめです。

2. 繰上げ受給をしている

繰上げ受給とは、本来の年金受給期間より前にもらうことです。基本的には年金は65歳から給付されますが、繰り上げ受給を活用すれば60歳から受け取れます。

注意したいのが、繰上げ受給をすると年金が減額されるという点です。減額率は、繰上げ受給の請求をした時点に応じて決まります。減額率は最大24%で、以下の計算式によって求められます。

0.4%×繰上げ請求月から65歳に達する日の前月までの月数

60~65歳での経済的な不安を解消するためには効果的な手段ですが、65歳を過ぎてからの受給額は減ってしまう点に注意しましょう。

参考:日本年金機構|年金の繰上げ受給

3. 繰下げ受給をしている

繰下げ受給をしている場合も、65歳での年金受給額が減る可能性があります。繰下げ受給とは、65歳になっても年金を受給しない代わりに、66~75歳で受け取れる額を増やす仕組みです。

繰り下げた期間によって年金が増え、最大増額率は84%です。一生でもらえる年金額は増えるものの、65歳時点で受け取れる年金額は減ってしまいます。

年金が減っても生活できる方にはおすすめの制度ですが、在職老齢年金が適用されて減額された年金は、繰下げても増えない点には注意しましょう。

参考:日本年金機構|年金の繰下げ受給

4. 国民年金保険料の免除や減額制度を利用した

年金には以下のように、保険料を免除や減額できる様々な制度があります。保険料の納付を免除や減額された場合、65歳以後に受給できる年金額が減る可能性があるので注意しましょう。

  • 保険料免除制度
  • 保険料納付猶予制度
  • 学生納付特例制度
  • 失業等による特例免除

また、免除された額によって年金の減額率が異なります。免除額が多いほど、受給額も減る仕組みです。

保険料の納付が難しい場合に活用したい制度ですが、経済的な余裕が生まれたら「追納」をおすすめします。10年以内の保険料の免除は、追納が可能です。追納すれば年金額も増えるので、65歳以後の経済的な支えになりますよ。

本来納めるべき時点から3年以上経過すると、その分加算額が上乗せされるのでなるべく早く納めましょう。

参考:日本年金機構|国民年金保険料の追納制度

5. 国民年金保険料が未納の期間がある

免除や猶予の制度を活用せず、単に納め忘れの期間がある場合も年金受給額が減ってしまいます。未納の期間が1年あると、年金の受給額が1年で約2万円減額されます。

減額率は一生変わらないので、満額もらえる場合と比べると非常に大きな差になるでしょう。未納の場合、2年以内であればさかのぼって追納が可能です。

「なぜか年金が少ない」という場合は、未納の期間があるのかもしれません。65歳以前で未納に気づき、追納が可能なら納付することをおすすめします。

【シミュレーション】65歳以上で年金が減るパターン

【シミュレーション】65歳以上で年金が減るパターン

こちらでは、65歳以上で年金の受給額が減ってしまうパターンを紹介します。

  1. 在職老齢年金が適用されるパターン
  2. 繰上げ受給したパターン

具体的に収入や年金の受給額を想定して計算していくので、ご自身の場合はどうなるのか、実際に計算する際の参考にしてくださいね。

1. 在職老齢年金が適用されるパターン

現在65歳で、年金を受給し始めたばかりの方の場合です。現在も働いており、月の収入や年金の受給額は以下のとおりです。

基礎年金受給額:6万円
厚生年金受給額:10万円
給与:32万円
1年間の賞与:120万円

この方の場合は在職老齢年金が適用され、年金の受給額が減ってしまいます。

{(32万+10万+10万)-48万}÷2=2万円

厚生年金の支給額が月2万円減額されるので、8万円になります。給与が月28万円である場合と月の収入額が変わらないので、注意しましょう。

2. 繰上げ受給したパターン

現在65歳で、62歳時点から年金を繰上げ受給をしている方です。本来の年金の受給額は以下のとおりです。

基礎年金受給額:6万円
厚生年金受給額:約5.6万円

本来であれば月約11.6万円、年140万円の年金を受け取れます。ところが、62歳から受給していたため、現在は以下の額を受け取っています。

月約11.4万円
年137万円

0.4%×36ヵ月=14.4%:本来の年金額の85.6%が支給

1ヶ月あたりの差額は2,000円で、小さな差に感じられるかもしれません。しかし、85歳まで年金を受給する場合、本来の受給額よりも50万円も減ってしまいます。

繰上げ受給をする際は人生プランをしっかり設計して、将来の自分が困らないよう気をつけましょう。

65歳以上の方が年金を減らさずに働く2つの方法

65歳以上の方が年金を減らさずに働く方法

「65歳を過ぎても働きたい」「でも年金は満額受け取りたい」という方のために、こちらでは年金を減らさずに働く方法を解説します。

  1. 月48万円を超えないようにする
  2. 厚生年金に加入しない

「やりがいや健康のために働きたいが、年金が減るのは嫌だ」という方には必読の内容です。ご自身のライフスタイルに合った働き方を見つける際の参考にしてくださいね。

1. 月48万円を超えないようにする

「厚生年金の受給額+給与+1年間の賞与を12で割った額」が48万円を超えてしまうと、在職老齢年金が適用されて受給額が減額されてしまいます。そのため、年金を満額もらいたい方は「月48万円」を基準に仕事量を調節しましょう。

また、在職老齢年金が適用されるか計算する際は以下の点に気をつけてください。

  • 基礎年金の受給額は計算に含まない
  • 厚生年金の受給額は毎年10月に改定される
  • 給与だけでなく賞与も計算に含む

毎月の給与や年金の受給額を明確に把握することに加え、48万円以内で働きたい旨を職場にも伝えておくのがおすすめです。

2. 厚生年金に加入しない

そもそも、厚生年金に加入しない場合は在職老齢年金の対象にはなりません。個人事業主として働く場合は、厚生年金の加入義務が発生しません。

当ブログを運営するうぇるねすでは、マンション管理員を個人事業主として契約していただいています。「特別なスキルを持っていない」という方でも働けるので、65歳を過ぎてからの仕事として非常におすすめです。

厚生年金に加入しないと、障害厚生年金や遺族厚生年金が受け取れないなどのデメリットもありますが、限度額を気にせず働きたい方は検討してみましょう。

定年後に年金を減らさずに働く方法については、関連記事「【必見】定年後に年金を減らさずに働くには「在職老齢年金」が重要!3つの具体的方法を紹介」にて詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

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